大橋 由暉
「高速な類似画像検索のための多段階絞り込み処理フレームワークの提案」

 
 拡張現実感(Augmented Reality: AR)を用いて原子力発電所内での作業を支援する研究が行われている。ARを用いることで作業をより安全かつ効率的に行う手助けができると期待されている。原子力発電所内でARを利用する際には、リローカリゼーションと呼ばれる技術が必要である。本研究では、リローカリゼーションの処理中に行う類似画像検索の性能を向上させるために、複数の類似画像検索手法を組み合わせた多段階絞り込み処理のフレームワークを開発した。
 フレームワークでは、類似画像を検索する際に、高速な画像検索手法や高精度な画像検索手法を組み合わせて、段階的に類似画像の候補を絞り込む方法を提案した。段階的な絞り込みにより、速度と精度を両立した高性能な類似画像検索が実現できると期待される。また、段階的な絞り込みに用いる画像検索手法の組み合わせを最適化するアルゴリズムも提案した。
 原子炉廃止措置研究開発センターの純水装置室内で撮影して取得した画像を対象に、フレームワークの評価実験を行った結果、フレームワークに従って複数の画像検索手法を組み合わせることで、画像検索手法を単独で利用する場合よりも類似画像検索性能を向上できる可能性が示された。

論文はこちら→ Ohashi.pdf