半田 大樹
「VR Earthquake Experience System with Automatic Reconstruction of Indoor Environment」

 
 地震の減災に有効な手法のひとつとして地震に対する恐怖と対策の知識を与えることで態度の向上を目的とする恐怖喚起コミュニケーションが挙げられる。恐怖喚起には起震車やVirtual Reality (VR)を用いた体験が提案されている。起震車は広く用いられているが、小さな部屋に限定され家具を固定する必要があるなどの問題がある。一方、既存のVR体験手法では専門家が個別の部屋を手動でモデリングする必要がありコストが高いため広く用いられていない。
 本研究では、VR体験に必要な3Dコンテンツを自動生成することで安価に地震のVR体験が可能なシステムを提案する。提案システムでは対象の部屋を3Dスキャンし、そのデータに室内環境再構築を適用し、生成された物体のモデルを用いて剛体物理シミュレーションを行うことで地震を再現する。体験者はヘッドマウントディスプレイなどのデバイスを用いることで仮想の地震を体験する。提案で用いる新たな室内環境再構築手法は既存の手法と異なり、室内の物理的に安定な複数の物体のモデルを生成可能である。
 提案システムを評価するため18人の評価者による実験を行った結果、過半数の評価者が恐怖を感じたと回答し、提案システムの有用性が示された。

論文はこちら→ handa.pdf