松岡 和宏
「拡張現実感技術を利用した住宅景観シミュレーションシステムの開発」

 
 住宅を建築する際、現状では完成後の明確なデザインや周囲の風景との調和を直感的かつ具体的に把握する手段に乏しい。そこで本研究では、拡張現実感技術を用いて実際の現場に完成後の住宅のCGを重畳表示し、さらにその住宅や庭のCGを自由にその場で変更できる、住宅景観シミュレーションシステムの開発を目的とする。
 拡張現実感技術を利用するには、ユーザの視点位置をリアルタイムで計測するトラッキングを行う必要がある。本研究では、安価で手軽に利用でき、安定性の高い人工マーカを用いたトラッキングを行った。ただし、人工マーカ法は屋外でのロバスト性が低い。ロバスト性の向上のため、再帰性反射材を素材としたマーカを試作し、評価実験を行った結果、太陽光環境下でも安定してトラッキングできることがわかった。
 その後、HMDに搭載したカメラで撮影した映像に住宅などのCGを重畳表示し、HMDを介してユーザに提示するシステムを開発した。本システムには、制御用PC上でCGの表示位置を操作する機能、モデル用マーカの設置位置に応じてCGを表示する機能などを実装した。動作確認の実験を行った結果、特にモデル用マーカの機能は、CGの表示位置を直感的かつ微細に調整できることがわかった。

論文はこちら→ matsuoka.pdf