冨田 大輔
「感情的要因を考慮した省エネ行動支援モデルと
省エネ行動支援システムの設計・構築とその評価」

   省エネは、我々が最も身近に取り組むことが可能な対策であるが、現状では省エネに対する人々の意識は高いものの、それが実際の省エネ行動には結びついていない。
 そこで本研究では情報技術を用いて、人々の省エネに対する態度を変容させ、省エネ行動の促進を支援する手法の創出を目的とした。
 まず、心理学的観点から省エネ行動を支援するためのモデルを、環境配慮行動を促す社会心理学で提案されている3つのアプローチをもとに構築した。省エネ行動の喚起・促進につながると考えられる感情的要因を挙げ、その感情的要因に基づいた新たなアプローチを社会心理学的アプローチに加え、省エネ行動の促進を支援するための省エネ行動支援モデルとした。
 次に、構築した省エネ行動支援モデルをもとに、コンピュータを用いた省エネ行動支援システムの設計・構築し、被験者実験を行った。その結果、省エネ行動支援モデルの各アプローチは、省エネに対する態度の形成と、省エネ行動の意図の向上に有効であることが示された。しかしながら、省エネ行動の意図の向上が直ちに省エネ行動には結びつかないこと、提案した各アプローチの効果には個人差があることも示された。省エネ行動支援システムは、省エネ行動支援モデルに対応する動作を実現したという評価が得られた。また、省エネ行動支援システムの実用化に向け費用対効果の点からシステムの有効性を確認した。今後の課題として、動作を再検討すること、および設置場所・対象者を変え、省エネ行動支援システムを構築・実験・検討することが挙げられる。

論文はこちら→ tomita.pdf