Abstract


本研究では、プラント事故の安全評価に用いられているイベントツリー解析の基本的概念を適用して、エネルギー安全保障リスクの新たな定量的評価法を提案している。提案する方法論の要点は、エネルギー安全保障リスクに関わる特定の国際的政治的事象の発生しうる多様なシナリオをイベントツリーにより記述し、それぞれのシナリオの発生確率とその影響の評価を、専門家集団のブレーンストーミングによる合意形成で導出するものである。提起した方法論の事例研究として、アジア・太平洋地域の海上輸送によるエネルギー資源の供給障害を対象に、その起こりうる多様なシナリオで想定されるアジア・太平洋地域の各諸国での国内的、国際的諸問題についての専門家集団によるブレーンストーミングを行い、提案した方法論の具体的な適用法を示すとともに、エネルギー安全保障リスクを回避するための効果的な政策オプションの比較検討を行った結果を示した。

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(C) 2020 Hirotake Ishii