Abstract


 近年、教育分野では、学ぶ力や考える力を養う方法として議論方式の授業が提案され、情報通信技術の発展に伴い、コンピュータネットワークを用いたグループ議論が期待される。  本研究では、学校教育に適用できるグループ議論支援システムとして著者らが開発したERDE(Eco-Reflective Discussion System for Environmental Education)を利用して、高等学校と大学院でグループ議論を行う方法を提案し、提案した方法にもとずく実験授業を行い、2つの学校レベルでのERDEの利用方法を評価した。  ERDEは、学習者同士のグループ議論によって、議論テーマを論理的に深く考える仕組みを組み込んだシステムである。具体的には、「~すべし」という特定のテーマに対し賛否双方の立場に分かれるメンバー間でERDEに組み込まれた議論モデルに従ってディベートを行うことにより、ディベートに参加する学習者すべてがテーマを多角的に分析し、客観的なデータや根拠にもとづいて論証する力を養うとともに、議論テーマに対する総合的な視野と意見に対する寛容性を養うことを期待している。  ERDEを用いた実験授業では、「原子力発電の是非」を議論テーマにして、高校生および大学院生がグループ議論を行った。グループ議論の記録とアンケート回答のプロトコルデータをもとに、それぞれの学校教育でERDEを用いる方法を評価するとともに、それぞれの段階でのERDEの利用に関する効果とその問題点を考察した。

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