Abstract


本研究では、異常原因の特定という静的な教科知識を動的に運用する知識を必要とする作業を対象にし、ネットワークを介して熟練者がマンツーマンで教育訓練を行うための、効率的で効果的な支援システムの実現を目指し、訓練生の視点位置と思考発話をリアルタイムに検出し、インストラクタがその情報をもとに教育を行う実験的なシステムを開発した。このシステムでは、インストラクタが訓練生の視点位置と思考発話をリアルタイムでモニタでき、自身の教育的観点から、訓練生に対して教育的なメッセージを送信することができる。実機の運転経験者をインストラクタとして招聘し、異常診断の初心者を教育する被験者実験を行い、得られた訓練生とインストラクタの行動記録とアンケートを分析し、インストラクタが訓練生を教育する上での視点位置と思考発話の情報が寄与することを確認した。また、思考過程推定と機械診断サブシステムによる支援情報が活用されなかったこと、思考発話には十分な練習が必要であることなど、システム構成方法に関する今後の課題も明らかになった。将来的には、実験から得られたエラーパターンやエキスパートの教育方法をデータベース化し、計算機によって自動化された教育訓練システムへと発展させることが考えられる。

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(C) 2020 Hirotake Ishii