Abstract


化石燃料の利用に伴って発生する二酸化炭素(CO2)の大気中への大量排出が将来の深刻な地球温暖化を引き起こす要因となることが懸念されている。そうした中、自然エネルギーによる発電が比較的安価に行える海外地域で水の電気分解(水電解)により水素を製造し、日本において発電所から回収したCO2を上記地域に輸送して水素とCO2の合成によりメタノールを製造して、さらにこれを日本に輸送して発電燃料として利用する「CO2グローバルリサイクルシステム」が開発された。本論文ではCO2グローバルリサイクルシステムの運転条件について解析することで、全体システム(CO2分離回収、水素製造、メタノール合成および輸送を評価範囲に含む)の最適化を試みた。システムを構成する各プロセスの運転条件から全体システム評価指標を算出する数値シミュレーションモデルを作成し、全体システムに最も影響を与えると考えられるいくつかのシステム運転条件について、各種評価指標に対する最適運転条件を算出した。さらに、各評価指標間のトレードオフ関係を見ることにより、システム最適化に最も効果的な評価指標について解析した。その結果、全体システムの最適化を行う場合、メタノールコストに合わせて運転条件を設定することが最も全体システムの最適化に効果的となり、システム運転条件設定のための指針を得ることが出来た。

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