Abstract


「ヒューマンインターフェース」とは情報システム学の新領域であるが、「技術と人との関係に関する学術」とでも規定できよう。そこでは技術を提供する立場だけでなく、技術の受け手の立場からの研究、評価を重視し、理工的なモノの原理とともに、人文的なヒトの原理を生理、認知、心理、文化、社会のレベルで取り入れて、ヒトに調和するヒューマンマシンシステムのデザイン、ヒトの感性や魅力を活性化するデザイン、あらゆるヒトにバリアフリーなデザインを志向している。 以上のようなヒューマンインターフェース学の切り口は、社会・環境の中に置かれたヒトを機軸に、ヒトと人工物の関係を理工的原理と人文的原理とを横断して広範に分析評価してヒトに奉仕する人工物の新たな価値創造をデザインしようとする点で横断型科学技術の1つの方向性を提起するものといえよう。筆者は必ずしも「横断型基幹科学技術」の全体コンセプトを理解していないが、本稿では筆者なりの現代日本の技術文化への問題意識と、ヒューマンインターフェースにおける多様なアプローチとを紹介し、ついでその両者からヒューマンインターフェース学に要請される横断課題を展望することによって、ヒューマンインターフェース学の「横断型基幹科学技術」への深化を論じることにしたい。

Powered by JDBS Ver.2.1.0
(C) 2020 Hirotake Ishii