Abstract


本研究では,作業執務者の複数の認知・作業状態を仮定したパフォーマンス-認知負荷モデルを提案し, パフォーマンスと認知負荷,さらに認知・作業状態を推定する手法を開発した. パフォーマンス推定では認知タスクの解答時間,分散およびエラー率, 認知負荷の推定では瞳孔径および心拍数を入力の特徴量として用いた. 被験者実験の結果,各特徴量がパフォーマンス推定および認知負荷推定として有効であることが示唆され, さらに本手法が認知・作業状態を推定する上でパフォーマンス推定および認知負荷推定が妥当であると示唆された. また,提案手法によって時系列的に認知・作業状態の推定が可能になることで, 詳細な作業状況の推測可能となることから,本研究で提案したモデルおよび認知・作業状態推定手法が, より効果的な執務環境評価や改善案の検討に貢献できると期待される. 一方で,時系列推定の更なる妥当性評価は必要であり,また同時に より高度で多様な種類の知的能力を必要とする認知タスクの検討も行わなければならない. 今後はこれら課題も検討し,より詳細な知的生産性評価手法の実現を目指す.

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(C) 2020 Hirotake Ishii