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- 論文全体の項だてが、単にやったことの羅列にならないように、予めよく考えて、まず、この段階で、コメントを受けること。
- 序論 研究の主題、目的、意義 を明確にする。また、関連研究をレビューし、どんなことが既にやられているが、何が取り組むべき未解決の課題かを明らかにすること。
- 本論 いくつかの章に分けて、記述するが、章の間のつながりを考え、カットアンドペーストで同じことを幾章にわたって繰り返して述べないように注意すること。
- 研究で用いた方法、前提、と得られた結果を明確に記載する。できるだけ、コンセプトの明確化、理論的展開・定式化、にも一段と取り組むこと。また、文章が一文が数行にもわたることは避け、論旨を明確にすること。
- 結論 本研究で得られた結果とその意義を簡潔に要約するとともに、研究全体を振り返って、残された課題、将来の発展課題を必ず考察しておくこと。
- その他、注意すべき点
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・〜したり〜したり
・〜といった
・〜ことで
・〜ということ。
接続詞の代わりに使っていると思われるが、前後の論理的な意味が不明確になるので厳密に論理を記載する論文では多用しない。
- 文章は、体言止めにしない
- 「等」を使うときは、他に何かがあると思うが、範囲が限定できるようにする。
- 表は、要素を分類し対比を明確にするために有効な手段である。
- 「適切な」はどういう意味で「適切な」のかがわかるようにする。
- サブタイトルの「概要」では、範囲が不明瞭なのでどのような要素を記載するかを考えて、その要素を明示する方がよい。
- 「より有効な」などのような比較級のいい方では何に対して比較しているかを必ず明示する。
- 「〜を考えると」 論文では考えていることは当然の前提なのでなるべく用いない。
■ 原著論文の審査における視点の例について (SICEの場合)
- 新規性
1. 問題の設定や観点が新しいこと
2. 新しい概念に基づきシステムを設計したこと
3. 問題解決や情報処理の新しい方法を提案したこと
4. 新しいシステムの評価手法を提案したこと、など
- 有用性
1. 実用化または試作により{明確な,著しい}成果を得たこと
2. 実験やシミュレーションなどにより手法の性能を確認したこと、など
■ 学位論文原稿の書き方について
- まず、目次構成と箇条書きの要旨にて、論文全体の設計をして下さい。
- 論文全体の、論旨の筋が綺麗に纏まるか、内容が過不足なく構成されているか、各章ごとのつながりに無理がないか、を検討しましょう。
- それから、全体の研究を適切にかつ簡潔に表す標題を考えましょう。
- 序論
- 研究論文の主題の背景、意義、を述べ、内外の関連研究を参考文献を引用しながら展望 して、そこにおける新しい課題、未開拓の問題を摘出し、自分の研究の位置を明確にす ること。
- 自分の論文で取り扱う研究の主題とその進め方の要点を簡潔にしるし、次いで各章の構成を簡潔に紹介すること。
- 各章の紹介では、どういうことを述べるのかを記すだけで、研究成果を要約しないこと。 (ここでは、過去形を使わないこと。)
- 結論
- 導入部では、本研究の主題、意義を簡潔に要約し、設定した研究課題とそれの解決をどのようなステップ(各章)で進めたか、を簡潔に記載する。
- ついで各章の要点、得られた成果と意義を簡潔に記載する。(これは過去形を使う)
- その後、要するに全体として、どれだけの成果が得られたか、また、その学術的、実際的な意義についても振り返って見ましょう。
- そして、最後に関連研究の今後の課題、研究の発展方向 について、展望する。
- 参考文献
- 各章
- 各章は、論文の心臓部ですが、しかし、実際にはすべて読んでくれるとは限りません。(読むのは、主査と副査の一部でしょう。実際、各章を読むのには多大な認知負荷が掛 かるので、段落の構成で筋が追えるように、各章の段落構成は、一段と推敲をお願いし ます。以下はそういった主査の立場からのコメントです。)
- 本文に記載する内容の、論旨の筋道を明解にすることを、心懸けて下さい。
- いろいろ書きたいことがあると思いますが、余り詳細に渡ることは、付録に回し、論旨の展開に必要な大事な事項に絞って、段落の構成、見出し語を工夫して、記載下さい。
- 幾つかの要件を説明するときには、まず、番号づけ、箇条書きで要件が幾つあるのかを整理をして、全体の見通しを明確にして下さい。
- 概念的なコンセプトや手順の流れの説明などでは、図表を活用し、工夫して下さい。 また、どういうわけか概念を、言葉でくどくど説明されますが、数式化、記号化、定式 化できないか、を一度、お試し下さい。(これは、研究段階で本来努めることですが・・・)
- 図表では、それを読むだけで大体の内容が判るように図表のタイトル、表の項目、図中の縦横軸、キャプションの説明、記号の説明などを、工夫すること。
- 最後に得られた、成果の項目が明確に読みとれるように、できるだけ、箇条書きで整理をされるように進めます。
- ■ 口頭発表について
- これは、OHPなどで口頭発表をします。限られた時間で、成果を説明する訳ですから、論文のすべての内容を説明することはできない、とお考え下さい。(もし内容が豊富ならば、ということですが。)
そういった前提で、事前準備に心懸けて下さい。
予備検討会では、1時間30分程度で全部説明できるように、OHPはせいぜい60部 位の使用を考えて下さい。
公聴会では、発表が60分程度 に収まるように、重要な成果 に絞って説明しましょう。
いづれもまず研究の背景、意義、内外の研究展望と課題、自分の研究の全体のあらすじを整理したものを先に示し、3つほどに絞った各論の位置づけを明確にしてから、各章のポイントを明確に説明し、
最後に得られた成果をまとめ、今後課題を述べて締めくくる、ということになります。
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