小野 祐
「電波源の方向検知を用いた隠背景カメラのキャリブレーション手法」

 
 視覚を対象とする隠消現実感を用いると、障害物を透視して裏側の様子を観察する体験を提供できる。このようなシステムは通常、隠背景カメラで撮影した障害物の裏側の映像を、ユーザが持つディスプレイに位置合わせして表示することで実現する。そのためには、ユーザから見た隠背景カメラの位置と撮影方向を知る必要があるが、障害物越しに隠背景カメラの位置と撮影方向を直接求めること(キャリブレーション)は困難である。
 そこで本研究では、障害物を透過する電波を用いて障害物越しに隠背景カメラのキャリブレーションを行う手法を開発することを目的とし、交差点法、相対姿勢制約法、高さ制約法の3つの手法を提案した。提案手法の有効性を評価するため、現実の環境で評価実験を行い、各手法による隠背景カメラのキャリブレーション精度を比較した。また、キャリブレーション結果から隠消現実感体験画像を作成し、姿勢推定精度が隠消現実感画像の品質に与える影響を評価した。
 その結果、相対姿勢制約法および高さ制約法では、カメラの撮影方向の推定誤差が顕著に少なくなった。特に、高さ制約法では、カメラの光軸周りの回転誤差が非常に小さくなり、隠消現実感体験画像の品質が大幅に向上した。

論文はこちら→ Ono.pdf