佐々木 眞帆
「自己肯定感向上のための透明人間体験隠消現実感システムの開発」

 
 環境問題の深刻化に伴い環境配慮行動(PEB)の重要性が高まっている。本研究では、自己肯定感を高めることがPEBの促進につながる可能性に着目し、自己肯定感向上のための透明人間体験隠消現実感システムを開発した。
 透明人間体験システムとは、自分の身体が透明になったような感覚を生起させるシステムのことである。本研究では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に取り付けたカメラを用いて取得した映像から、深層学習を用いてリアルタイムに身体領域を透明化してHMDで提示した。そのため、透明人間体験システムに適した深層学習のネットワークを作成した。さらに、少数の画像から自動的にデータセットを作成する手法も開発した。
 また、透明人間体験時の心理変化を調べるために評価実験を行った。その結果、透明人間体験をすることで透明人間になった感覚を得て自分の身体の存在感が低下することや、それにより理想自己と現実自己の差が小さくなるが、最終的に自己肯定感が低くなることが分かった。
 今後の課題としては、自己肯定感の高さによって参加者を分類した評価実験の実施や、透明人間体験がPEBに及ぼす影響についての調査が必要である。