北山 翔
「執務中のマイクロリフレッシュが知的集中に与える影響に関する実験研究」

 
 近年、労働生産性向上のため、オフィス環境での知的集中向上が求められている。
本研究では、知的作業中の執務者に対して数秒から数十秒の非常に短い休憩(マイクロリフレッシュ・MR)を与えることを提案し、これが知的集中や疲労等に与える影響を定量的に評価する対象実験を実施した。
 実験では、7分30秒おきに20秒ずつ、認知課題の解答画面を灰色に変化させることによって参加者に休憩を促した場合とそうでない場合を比較した。
 52名を対象とした実験の結果、31名分の有効データが得られた。
 知的集中の定量評価指標であるCTR(Concentration Time Ratio)にMRの有無で統計的な有意差は見られなかったが、CTRの算出方法や解答時間の推移等に着目すると、MRが知的集中向上に一定の効果をもたらす可能性が示唆された。
 また、精神的負担を示すNASA-TLXスコアは、MRによって有意に低くなることが分かった。
 自覚症しらべのだるさ感・ぼやけ感のタスク前後差分はMRあり条件の方が少なかったものの、MRの有無で統計的な有意差は見られなかった。
 MRを実際のオフィス環境に導入すれば、労働生産性の向上に寄与する可能性がある。