鎌苅 亮汰
「コンフリクトが生じる合意形成実験タスクの設計と好感度変化に着目した分析」

 
 エネルギー・環境問題が深刻化する現在,新しいエネルギーシステムの導入などの場面で合意形成はその重要性を増している.そして,円満な合意形成のために「感性」が重要な役割を果たすことが知られている. 従って,合意形成を感性の観点から分析し,円満な合意形成を実現するための示唆を得ることにより,エネルギー・環境問題の解決に貢献できると考えられる.
 そこで本研究では,「コンフリクトが生じ,十分な発言数・対話時間が確保できる合意形成タスクを開発すること」により「感性,とりわけ好感度と合意形成との関連を調べること」を目指した.そのために,食品を交渉材料として用いることで,「実験終了後にどちらが一定時間何もせずにひたすら待つか」を決定する「NoForT(Negotiation on Favorites or Time)ゲーム」というタスクを設計した.
 その後,設計したタスクを用いて実験を実施し,40件の合意形成データを得た.その結果,NoForTゲームにより,譲り合いではなくコンフリクトが生じること,十分な発言数・対話時間が確保できることがわかった.また,「好感度が上昇する際には合意が進んだと感じ,下降する際には合意が進んでいないと感じる試行」が一定程度存在することがわかった.