湯村 航平
「知的作業時の集中の時間変化に着目した分析手法に関する研究」

　
　オフィスでの消費エネルギーの削減が求められているが、過度な消費エネルギーの削減は知的作業の効率を低下させる可能性がある。そのため、知的作業の効率に関連する知的集中の分析手法が求められているが、集中の時間変化に着目した研究は行われていない。そこで本研究では、知的集中の時間変化に着目した分析手法を開発することを目的とした。
　知的集中の時間変化を分析するにあたって、認知課題の解答時間データから知的集中に関する時系列データである集中度を定義した。本研究では、作業時間全体での集中度の変化を表す長期トレンド、短い間隔での集中度の変化を表す短期変動に着目した分析を試みた。
　長期トレンド分析では、時系列クラスタリングを用いて、長期トレンドの変化パターンによって集中度データを分類した。クラスタリングの結果、作業時間の前半と後半で異なる変化パターンをもつクラスタに大別できることが分かった。
　短期変動分析では、集中度が短期的に大きく低下している箇所である低下点を新たに定義し、低下点をもとに過去の実験の分析を行った。分析の結果、低下幅の時間変化には実験環境間で違いが見られる可能性があることなどが分かった。