山脇 瑞記
「エージェントの対話性がユーザの環境配慮行動に与える影響の実験評価」

 
 環境問題を解決するための対策として、一人ひとりが環境配慮行動(PEB)を実施することが重要とされている。PEBは手間や負担が大きいため、人々にPEBを促すためには何らかの介入・動機づけが必要である。そこで、本研究では、人々が自分をよく見せようとする「ミエ」に着目した。
 本研究では、このミエを張る対象としてエージェントを想定する。エージェントの発話中のインタラクションの有無がユーザのミエやPEBの実施度合いに与える影響を、人を対象とする実験により調べた。
 インタラクションを行うエージェントを「対話型エージェント」、インタラクションを行わない、つまり、一方的に情報を発するのみのエージェントを「非対話型エージェント」とし、2つの仮説を立てた。
 仮説1は、「人は観察者である対話型エージェントに対し、非対話型エージェントと比較してよりミエを張りたいと思う」であり、仮説2は、「人は対話型エージェントと接した時の方が、非対話型エージェントと接した時よりもPEBが促進される」である。これらの仮説を検証するため、64名の参加者に対し実験を実施し、その結果、2つの仮説は支持された。