魚谷 拓未
「デジタルサイネージでの揺動表現を用いた二言語表示法に関する研究」

 
 現状,デジタルサイネージでの多言語表示法は言語切替表示と多言語同時表示に大別される.しかし,前者は閲覧者が読めない言語が表示される間に待ち時間が発生し,後者は1画面に複数言語を併記するため文字サイズが小さく,可読性が低下する.時間あたりの情報量や可読性を確保する多言語情報伝達を実現するため,揺動表現を用いた二言語表示法(二言語揺動表示法)を提案した.
 本研究は提案手法の可読性の定量的評価を目的とし,(a)提案手法の可読性を最大化する揺動表現を探索した上で,(b)提案手法での表記言語の違いが可読性に与える影響を調査するとともに,(c)言語切替表示と提案手法の可読性を比較した.
 (a)では,揺動表現を様々に変えた提案手法の刺激を提示し,読み時間と主観的な読みやすさを計測した結果,提案手法に適する揺動表現を明らかにした.(b)では,日本語・日本語および日本語・韓国語での提案手法の読み時間を比較した結果,後者が前者より有意に読み時間が短いことが示された.(c)では,日本語・韓国語での提案手法と言語切替表示の読み時間を比較した結果,提案手法が言語切替表示より有意に読み時間が短いことが示された.