川本 聡真
「執務時と休憩時の気流制御が知的集中へ及ぼす影響の実験研究」

 
 近年,知的生産性を向上させるオフィス環境の構築が必要とされている.本研究では,気流に着目し,執務中と休憩中で風量を変化させることによって温冷感の差を作る室内気流環境を提案し,知的生産性に与える影響を評価した.
 温冷感が異なる夏季と冬季に分けて室内気流環境を提案した.夏季の提案環境では,執務中は涼しく,休憩中は暖かくなるように気流を制御する.さらに休憩中は1/f ゆらぎの気流を曝露し,執務開始直後には短時間の強風を曝露し冷刺激を与えることで,知的生産性を向上させることを期待した.冬季においては,冷刺激を不快に感じやすい傾向があるため,気流によってあたえる冷刺激を弱めて,香りでその効果を補助することとした.
 評価実験を行い,集中時間比率CTR と主観評価のアンケートを計測した.その結果,夏季における提案環境は気流なしの標準環境と比較してCTR が有意に向上することを確認した.また,アンケートの結果から快適性,覚醒度,主観的な集中度等の向上が確認された.冬季における提案環境は気流なしの標準環境と比較してCTR の有意な差は見られなかったが,多くの人が提案環境を主観的に快適で集中しやすい環境であると感じることが分かった.

論文はこちら→ Kawamoto.pdf