上田 樹美
「知的作業への集中評価のための認知処理PNマップ分析」

 
 働き方改革に注目が集まる近年、オフィス執務者の作業効率を表す知的生産性の向上による勤務時間の短縮を目指す取り組みが多く行われている。本研究室では、オフィスにおける知的生産性向上のための検討に必要な知的生産性の評価手法として、知的集中に着目した方法の開発を続けてきた。本研究では、これまでに開発した評価手法では考察できなかった認知課題実施中の認知処理過程の分析を可能とする、新たな集中分析方法「認知処理PNマップ」を開発した。
 この手法では、従来の集中深さ解析に加えて、集中状態モデルに基づいて必要処理回数Nと処理実行確率Pという新たなパラメータの算出を行う。算出したパラメータに正規化処理等を行い、散布図としてプロットしたものをPNマップとして利用する。
 PNマップ上でのプロット点の変位は「作業課題に対して割り当てている認知資源の量」や「作業課題の進行に伴う認知処理過程の冗長さ」の変化を表すと考えられる。実際の実験データをPNマップにより分析した結果からは、作業課題に対するモチベーションの向上は、浅い集中での認知処理において、作業に割り当てる認知資源の量を増加させる効果が小さいながらある等の知見が得られた。

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