緒方 省吾
「個人の特徴と知的集中との関係に関する実験研究」

 
 近年、企業のオフィスでは省エネルギー活動や従業員の働き方の改革が進められている。またオフィスワークでは急速な情報化の影響により情報管理や情報処理などの知的作業が増えており、知的作業における集中力(知的集中)の重要性が高まっている。知的集中向上のための環境構築や知的集中の定量的評価方法の開発などの既往研究は存在するが、作業者の性格や精神的特性などの個人の特徴にも知的集中は大きく影響を受けるにもかかわらず、知的集中と個人の特徴の関係に関する研究は不十分であった。特に、知的集中がどの程度、直接的に関係したのかを述べておらず、個人の特徴と知的集中を定量的に評価したものは報告されていなかった。そこで本研究では、個人の特徴と定量的に評価した知的集中との関係を調査するために、204名の参加者に対して、調査実験と統計的な評価を行った。実験で得られたデータを統計的に評価したところ、相関係数による関係の評価では明らかな相関は見られなかったが、ニューラルネットワークによる関係の評価手法を用いることで、個人の特徴と知的集中との関係の中で、知的集中の指標からGHQ精神健康調査票尺度の項目が他のものに比べて正しく推定できる可能性が示された。

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