上東 大祐
「執務環境変化による知的生産性変化の分析フレームワークの研究」

 
 近年、企業で行われている省エネルギー活動の取り組みが、オフィス執務者の作業効率を低下させ、かえってエネルギー消費を増加させてしまう問題がある。そのため、執務環境変化による知的生産性の変化だけでなく、そのメカニズムまで明確に分析し、知的生産性の向上に配慮しつつ、エネルギー消費量を削減するように執務環境を改善する必要がある。そこで本研究では、執務環境変化による知的生産性変化のメカニズムまで分析するにあたって必要となるプロセスの、それぞれ異なる専門知識が必要な手法を体系的に結びつけ、執務環境変化による知的生産性変化の分析フレームワークとして提案し、複数の異なる執務環境要素ごとに適用したケーススタディからその有用性と課題を評価した。その結果、集中時間比率が向上するグループと向上しないグループでそれぞれ、向上を説明するメカニズムと低下を説明するメカニズムが得られ、執務環境変化による知的生産性変化のメカニズムを概ね矛盾なく解釈することができたと考えられる。また、知的生産性を向上させるための執務環境条件の改善案をそのメカニズムからいくつか提案することができた。

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