古田 真也
「冬季における室内気流環境が知的集中に及ぼす影響の実験研究」

 
 近年、オフィスでは、空調を緩和する等の省エネルギー活動を推進しているが、過度な省エネルギー対策は室内環境の快適性を損ない、知的作業の生産性(知的生産性)を低下させる可能性がある。日本の多くのオフィスビルでも、冬季の空調による温熱環境の一括制御に対して不快感を感じている執務者は多い。
 本研究では、室内温度が低く、風に当たることが好ましくない冬季において、作業間に定期的に休息を取ることを促す気流環境を提案する。「風速ゆらぎ」、「休息」の2つの観点で開発した気流環境を執務者が知的作業を行う際に直接、気流を曝露する。心地良く感じる範囲で風速をゆらがせた気流を曝露し、曝露している間は休息を取ることで、意識して感じていない執務者の身体負担を減らし、集中度や知的作業のパフォーマンスが向上すると考えられる。
 知的生産性に与える影響の評価を目的とした32名の被験者実験を実施した結果、実験参加者の評価実験用タスクの作業成績と主観評価から、気流環境による休息を取ることで集中が向上、疲労感が低下する傾向が確認できた。

論文はこちら→ Furuta.pdf