島村 祐太
「気流制御環境下における知的生産性変化の客観的・定量的評価」

 
 オフィス環境の要素が知的生産性に影響を与えることが既往研究で示唆されている。本研究は、オフィス環境の要素の中でも、気流環境と知的生産性との関連性に着目した。その理由として、既往研究では、知的生産性を向上させる効果が主観でのみ評価されており、客観的かつ定量的に評価した例はないからである。そこで本研究では、知的生産性を向上させる気流環境を提案し、知的生産性への有効性を客観的かつ定量的に評価した。気流環境を提案する際に、探索的に気流環境を試行する試行実験を3回実施し、執務者の主観評価を参考にすることで、気流環境の詳細を決定した。そして、風速0〜0.4(m/s)の間で風速を変化させながら常時送風する「弱気流」と風速1.6(m/s)で10分に1回20秒間送風する「強気流」で構成された弱・強気流環境を提案した。評価実験の結果、弱・強気流環境下では標準環境下と比較して知的生産性が6.5%ポイント有意に高いことを客観的かつ定量的に示された。
将来、本研究で提案した「弱・強気流環境」がオフィスに導入された際には、オフィスワーカーの知的生産性が向上することで労働時間が減少し、エネルギー消費量の削減が期待される。

論文はこちら→ shimamura.pdf