瀬尾 恭一
「知的作業中の生理指標計測による作業成績推定手法の検討」

 
 オフィスにおける節電活動によって知的生産性が低下する可能性が指摘されている一方で,知的生産性の評価手法は確立しておらず,その両方の観点からオフィス環境の見直しを図ることは現状困難である.
 本研究では,客観的かつ定量的な評価が可能な生理指標を用いた評価方法の基礎検討として,事務作業を模した認知タスク遂行中の生理指標データから,機械学習手法を利用してタスク解答数を推定する手法を検討した.機械学習手法はSupport Vector RegressionとRandom Forestsを採用し,精度評価を交差検定法により推定した.生理指標は,情報処理やストレスなど認知活動の指標となる瞳孔径および心拍変動成分を採用した.これらの指標は非接触式の計測手法が提案されているため,提案手法が知的生産性評価手法として応用された場合,計測によって作業が妨害されず実用性が高いと考えられる.
 提案手法の精度評価を目的とした27名の被験者実験を実施した結果,Support Vector Regressionを用いた場合,高い精度でタスクの解答数を推定できた.また,生理反応には個人差が見られたが,ほとんどの被験者では高い推定精度が維持されており,提案手法の有効性が確認できた.

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