内山 皓介
「知的生産性評価のための集中指標算出ツールの開発」

 
 オフィスの執務環境変化による知的生産性の変動を定量化して考慮して実施する必要があり、そのための評価指標として集中指標が開発されてきた。本研究ではこの集中指標を算出する課題を解決するために、指標を算出するアルゴリズムを精緻化し、加えて、執務環境改善を目指す様々な人が簡単に指標を算出できる解析ツールを開発した。そして、2種類の照明条件(A環境、T&A環境)を設定した評価実験結果を再評価することで有用性を評価した。開発したツールによって、19名の各6セットの認知タスクの計測データから集中指標を算出するのにかかる時間は従来の方法より約1/50に時間が削減されたことに加えて、全ての計測セットにおいて集中指標の算出が可能となり照明条件間の評価の信頼性が向上した。また、従来方法の評価ではA環境よりT&A環境の方が、集中指標が高い傾向(p<0.05)であったが、本提案手法ではA環境よりT&A環境の方が有意に高い(p<0.01)ことが示された。また、今までは実施できなかった認知タスクの実施セット内での集中指標の変化を評価することができ、詳細に執務環境の影響を調べることができると期待できる。

論文はこちら→ uchiyama.pdf