友利 健吾
「個人を対象とした二酸化炭素排出許容枠制度の不公平感低減策の提案と評価」

 
 家庭からの二酸化炭素排出量を抑えるために提案されている固定価格型の二酸化炭素排出許容枠制度(FIT-PCA)は、全日本在住者に一律無償で均等に二酸化炭素を排出しても良い枠(排出許容枠)を与え、排出許容枠が足りない場合には政府から固定価格で排出許容枠を購入し、余った場合には売却できる制度である。FIT-PCAは日本在住者にとって公平な制度であるとされていながらも、地域間の寒暖差、公共交通機関の発達差、要介護者の在住による世帯差によって生じる不公平感に対しては、どのような措置を講ずるかを検討していない。本研究では、FIT-PCAで未検討であったこれらの不公平感を低減するために、まず、人の必要性に応じた分配を基準とする原理にもとづいた排出許容枠の配布量の変更によるFIT-PCAの改訂をおこなった。次に、ペルソナ法によって、配布量の変更によって生じると考えられる新たな不公平感を抽出し、それが低減するような説明方法を提案した。
 これらの検討結果の不公平感低減効果を評価するために、698人を対象としたインターネットアンケート調査を実施した結果、原案のFIT-PCA よりも本研究が提案したFIT-PCA の方が人々の不公平感を低減できていることがわかった。

論文はこちら→ tomori.pdf