満　智遠
「拡張現実感を用いたプラント解体協調作業シミュレーションシステムの開発」

　
本研究では拡張現実感技術を活用したプラント解体作業計画立案支援システムの開発と評価を行った。本システムでは、複数の作業員が同時に携帯デバイスを利用して、作業現場に作業機器を仮想的に配置し、操作する。各作業員の操作内容は、サーバを介してリアルタイムに他の作業員の携帯デバイスに無線転送され、全作業員の作業内容は整合性を持って同期される。また、解体対象機器を横に倒す際の挙動は物理シミュレーションエンジンを用いて計算され、解体対象機器と作業環境が干渉する箇所がリアルタイムに検出される。作業員は、これら解体対象機器や台車の挙動や、干渉する箇所を、携帯デバイスが備えるカメラで撮影した映像上に重畳表示した形で参照できるため、直感的に状況を理解できると期待される。
また、開発したシステムの有用性と受容性を評価するため、本システムを「ふげん」の職員と拡張現実感開発の経験がある評価者に試用してもらい、アンケートおよびインタビューを実施した。その結果、本システムは、複数人でのプラント解体作業を検討するために利用できることが分かった。また、解体機器と作業機器を現場に仮想的に配置できることにより、解体作業の様子を直感的に理解しやすいことが分かった。解体作業シミュレーション中、作業員は自分の役割や他の作業員とどの協調作業をしているか理解しやすいことが分かった。

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