伊藤 達理
「自転車専用ハイウェイ導入によるモーダルシフト効果とコストの定量的評価」

 
本研究では、自動車からのCO2排出量削減のため、自転車へのモーダルシフト促進方策として自転車専用ハイウェイを提案した。自転車専用ハイウェイとは、既存の道路の一部を利用し、車道を自転車のみ走行可能とする方策である。新たに道路を建設する必要がないため、安価に自転車専用の道ができる。しかし、自動車は該当するルートを迂回する必要があり、これによる走行時間や走行経費、交通事故の増加も考えられる。ここで、走行時間・交通事故損失を社会的費用という観点で貨幣換算し、方策実施時に発生するコスト1円あたりのCO2削減量、つまりコストパフォーマンスを算出すれば、メリット・デメリットを定量的に検討することができる。ただし、これを算出するためには交通流を詳細に知る必要があるので、ミクロモデルの交通流シミュレータを開発し、京都市を対象とした上で評価を行った。
その結果、自転車専用ハイウェイにある程度の有効性はあると分かった。ただし、コストの大部分を占める時間価値については、算出に用いた原単位に疑問があるため、さらに議論が必要である。また、CO2削減量を京都市の運輸部門からのCO2排出量と比較した結果、自転車専用ハイウェイは自動車からのCO2排出量削減方策として有効であると分かった。

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