松田 亘司
「リスクコミュニケーションにおける相互理解促進のための
ディベート支援システムの応用に関する研究」
我が国では原子力事業者に代表されるリスク管理者と近隣住民に代表されるリスク受容者の間でリスクコミュニケーションが十分にできているとは言いがたい。そこで本研究では、リスクコミュニケーションが成功するための相互理解を、本研究室が過去に開発したディベート支援システムを用いて促進する手法を提案し、その評価を目的とした。
ディベート支援システムは教育を目的に開発されたPCベースのシステムだが、リスクコミュニケーション時の話し合いの際に、リスク管理者側とリスク受容者側で立場を入れ替えてディベート支援システムを用いることで、相手側の立場を理解し、相互理解を促進できると期待できる。
そこで被験者実験では、(a)本来の立場でのシステムディベート、(b)逆の立場でのシステムディベート、(c)本来の立場での対面ディベートの3つの条件について、リスクコミュニケーションシナリオを設定して30人の被験者にディベートを行ってもらい、相互理解の促進における立場逆転手法と、システムを用いる手法の効果を評価した。
その結果、立場逆転手法は相互理解に効果がみられず、システムを用いる手法は専門的・データを用いる話し合いに効果があることがわかった。
論文はこちら→ matsuda.pdf