近藤 佑樹
「オフィス環境評価のための新知的パフォーマンステストの開発と評価」

 
 近年、オフィスビルにおいて積極的な省エネ運動が実施されているが、そこで 働くオフィスワーカの知的生産性への影響は軽視されている。当研究室ではこれまでに、オフィスワーカの知的生産性を定量的に評価するパフォーマンステ スト(CPTOP)を開発し、主に照明環境を対象としたオフィス環境改善の効果を評価してきたが、測定の感度が低いという問題点があった。
 本研究では、過去の実験結果を詳細に分析してCPTOPの課題点を明らかにした上 で、新知的パフォーマンステストCPTOP2を開発した。CPTOP2は、(1)言語系の能 力を評価する語句並べ替えタスク、(2)アイデア想像力を評価するブロック組立 タスク、(3)数学的論理思考力を評価する数列穴埋めタスク、(4)記憶力を評価 する記憶タスクの計4種類で構成されており、Webブラウザ上で動作する。
 また、開発したCPTOP2の評価指標としての正当性を以下の2つの被験者実験によ り検証した。
(1)CPTOP2実施中の脳活動状態をNIRS(近赤外分光法)で計測し、人間の高次認知 機能との対応関係を確認した。
(2)照明環境を改善した時の知的生産性の向上効果をCPTOP2で評価し、既存の CPTOPよりも感度が良いことを確認した。

論文はこちら→ kondo.pdf