鶴田 将之
「頭部への振動触覚刺激を用いた空間情報提示手法に関する研究」

 
  触覚を用いた情報提示は、注意を喚起できるなど様々な利点があり、視覚を用いるよりも簡便かつ有用である場合が多い。本研究は、触覚の中でも特に機械的な振動触覚刺激に注目し、触覚を用いた効率的な空間情報の提示手法を調べることを目的としたものである。 まず、頭部に対して振動触覚刺激を与える、ユーザに精度良く方位情報を認識させることのできる方位情報提示方式を提案した。これはユーザが頭部に45°間隔に8個の振動モータを装着し、ユーザに頭部の回転を許容させ、提示した角度から±x°の範囲(振動角度範囲)にモータが存在する時にのみ、そのモータが振動するというものである。また、この方式をアプリケーションに導入する際の設計指針の提供を目指し、ユーザ行動のモデル化を行った。   さらに被験者実験を行い、本方式における最適なパラメータの導出、及び情報取得に要する時間と回答精度の関係を調べた。その結果、振動角度範囲を±π/32[rad]としたものが最も精度良くかつ短時間で認識でき、それを用いた場合、時間に余裕のある場合と変わらない精度で認識するために要する時間は4秒程度、その際に伴う認識誤差は±10°前後であることが分かった。

論文はこちら→ tsuruta.pdf