鮫島良太
「環境教育のための議論モデルと議論支援システムの設計・構築とその評価 」

  本研究では、環境教育の方法として議論形式の学習に着目し、学習者が共に特定の議題を議論しながら、自ずとそれぞれの学習者が、環境問題に対して自ら学ぶ力(学び方形成)と自ら価値判断できる認識(認識形成)を形成できる効果的な学習方法の創出を目的とした。 そこで、まず環境問題の議論の特徴を考察して、議論参加者が各自の考えを明確にし、建設的な意見の出せる議論にするために、議論モデルを介して他人と議論することを提案した。 提案する議論モデルは、発言そのものや自己や他者の考えの評価を明確に表現するためのものである。そして、この議論モデルを適用した具体的な議論手法(図)を提案した。

  次に、議論モデルを元にしたコンピュータを使ったネットワーク型の議論支援システム を設計・構築し、システムを利用した被験者実験を高等学校における環境教育の授業として行った。実験では、被験者の主観評価と学習過程のデータ分析を通じて、議論モデルおよび、議論支援システムの有効性の評価と教育現場に活用する際の課題を考察した。 実験の結果から、提案した手法での議論が、環境問題に対する「学び方形成」や「認識形成」に役立つことが示された。また、この形式の授業を通して、学習者の課題テーマに対する意識に変化を与える可能性が示唆され、今後の検討課題を見出すことができた。

 

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論文はこちら→ samejima.pdf


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