近藤 寛子
「原子力発電の定着と促進のための課題と
方策に関する調査研究」

 本研究では、原子力発電が抱える課題として、原子力技術の安定・安全の視点から「原子力技術の継承」、経済的な視点から「電力自由化」、社会的受容性の視点から「外部性評価」について取り上げる。それぞれについて、主として社会調査により現状分析を行い問題点や課題を抽出し、それらを踏まえ、原子力発電がより社会に定着するためにはどのような方策が必要かを考察することを目的とする。

 まず、技術継承では、原子力技術者の減少等の現状を受け、原子力技術の継承について原子力関係者を対象に、社会調査を行った。その結果を踏まえ、今後の原子力技術の継承に向けて民間企業、大学、政府、産官学に向けての取り組み内容への提言を行った。

 次に、各国の電力自由化に関する事例の文献調査や原子力関係者に対して行った社会調査をもとに考察した。その結果、原子力発電は自由化市場では、高額な初期投資コスト、回収不能コストの存在、バックエンドコストの不確実性等が重要課題として挙げられた。

 最後に、外部性評価では、環境外部性について、近年、欧米で開発されているExternEプロジェクトを文献調査した。また、環境外部性と非環境外部性を包括する外部コストである電源三法交付金制度に着目し、地方自治体職員を対象に社会調査を実施した。その結果、約半数以上の人が現行制度を立地促進や地域振興の観点から有効だと評価しており、現行制度の問題点として、交付金の使途の範囲が限定されていることが挙げられた。

 以上3つの点について問題点と課題を抽出したことは、今後の原子力発電の社会への定着と促進に資するものと期待される。

 これら3つの社会的課題を解決する枠組みを、図に示す。

 

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論文はこちら→ kondo.pdf


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