小牧 大輔
「オブジェクト指向に基づく仮想空間構築手法に関する研究」

  本研究では、大規模エネルギープラントの保守・運転作業の訓練環境を、仮想空間内に少ない労力で構築することを目的とし、研究を進めた。従来の仮想空間の構築手法に従って仮想空間を構築する場合には、仮想空間内に配置された仮想物体間のすべての関係を定義する必要があり、大規模な仮想空間の構築は困難だった。本研究では、オブジェクト指向の考え方を導入し、この問題の解決を試みた。
まず、本研究では、オブジェクト指向の概念を導入した、仮想空間構築手法「OCTAVE」を考案した。OCTAVEでは、(1)仮想物体と仮想物体の性質をオブジェクト指向のクラスに対応させる。(2)仮想物体間のインタラクションの実現のためにメッセージの概念を導入する。という2つの手法により、仮想空間を仮想物体の単位に分割して構築し、仮想物体を組み合わせることで、仮想空間を構築可能とした。これにより、従来手法に比べ、構築資産の再利用性が向上し、定義しなければならない項目が減少したため、仮想空間構築にかかる労力の削減が可能となる。
本研究では、この考案したOCTAVE手法に従って、仮想空間を構築し、シミュレーションすることができる仮想空間シミュレーションシステム「OCARINA」を開発し、仮想空間内に配置された仮想人間が訓練作業動作を実演する、作業実演システムをOCARINAを使用して構築した。



論文はこちら→ komaki.pdf


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