小澤 尚久
「音声認識を用いた認知過程推定手法のリアルタイム化に関する研究」


 本研究では、人間と機械が相互に適応しお互いの能力を補完し向上させていく相互適応型インタフェースの実現を目指し、その基礎研究として、原子力プラントに異常事象が発生したときのオペレータの発話内容と操作から、その思考過程をリアルタイムで推定する手法を開発し、その有効性を検討した。
 はじめに、原子炉プラントシミュレータ異常診実験を行い、音声認識装置により発話情報と、プラント情報提示インタフェースの監視履歴である操作情報を収集した。 この2つの情報を基に、プラント計装パラメータの相互の物理的な関係をネットワーク状に表したパラメータ因果関係図を用いて、オペレータの認知状態を実時間で推定するリアルタイム認知過程推定手法を導出した。 この手法では、オペレータが異常原因を特定する際の確信の度合いを示す「確信度」と、人間の情報処理の特性を考慮した「記憶の減衰効果」を導入した。
 そして次に、この推定手法を計算機上で実現する、リアルタイム認知過程推定器を構築した。 さらに、推定器を音声認識サブシステムと情報提示インタフェースに接続し、統合システムとしての動作確認実験を行い、正常な動作を確認した。




論文はこちら→ ozawa.pdf


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