大林 史明
「インターネットを用いた知的教育システムの認知心理学に基づく設計と実験評価」


 本研究では、科学技術の社会への受容性を向上させることを目指し、インターネットで代表される情報通信を双方向のコミュニケーションに活用する方法を課題にしている。 その一つとしてコンピュータ支援教育システムCAIを取り上げた。 このCAIは近年のWWWに代表される情報通信技術の著しい発達により、その開発が盛んに行われ始めた。 しかし、その本格的な研究開発はまだ始まったばかりであり、教育環境としての体系化は必ずしも充分ではなかった。
 そこで本研究では高等教育を対象としたWWWベースCAIシステムを構築することを目的に、より学習効果の高い教育システムを実現するために認知心理学の諸概念を適用して設計指針を作成し、それに基づいて知的教育システムを構築し、評価を行った。
 従来のWWWベースCAIでは、学習を促進する構成の不備や学習への動機付けの不足、インタラクションの不足などが問題点として挙げられていた。
 本研究では、これらの問題を克服するために、教育を扱う認知心理学のモデルや概念を用いてWWWベースCAIの設計指針を導出した。
 そして、この指針を基に、大学院講義を対象とした「ヒューマンインタフェースの基礎知識」の教授を行う知的教育システムを構築した。 この教育システムを従来型教育システムと比較評価するために、大学院修士学生を被験者にして試用実験を行った。 そのアンケート調査の数値評価の結果に対して有意差検定を行い、また記述評価の分析からも、上述の問題点に対して本研究の設計指針は有効であることが確認された。




論文はこちら→ obayashi.pdf


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